「フリーランスになってよかった、やりがいがあり楽しい!」と

毎日心底思っているくせに、

ある時突然、その根底が揺らぐことがあります。

 

昨日、私は地元の図書館で、

のんびりとビジネス雑誌を読んでいたのですが、ページをはらりとめくった途端、

全く予想だにしていなかったものを発見しました。

 

私のよく知っている元同僚の女性が、

華々しく雑誌に大きく取り上げられているのです。

 

ある外資系企業の日本法人のトップに彼女が就任したという向きの、

企業PR記事で、そこには彼女の自信にあふれた笑顔がありました。

 

その昔、彼女と私は、外資系企業で数少ない日本人女性の同僚であり、ライバルとして、

「いずれ日本法人を取りまとめて欲しい」とお互いにアジアパシフィックのHQから

発破をかけられていた関係でした。(グローバルだけど、日本法人は大きくない)

 

同じ日本人だけど、彼女と私は全く異なる性格と雰囲気と育って環境で、

プライベートでならお互い絶対に仲良くならないタイプです。

 

 

突然の知ってる顔に驚いたものの、

私は冷静を装い、目に力を入れて、ぐっと瞳孔を見開いて

どうにかその見開き2ページの記事を読んだ後

(ちなみに、その面積の約40%は自信に満ち溢れた彼女の輝かしい笑顔の写真)、

自分の心拍数がかなり上がっているのに気づきました。

 

 

正直、そのプロモーションにはそれほど驚きません。

あの強気の彼女なら、それくらいはやるでしょう。

また、名前が変わっていない所を見ると、あのイケメン外国人とは別れたのかも知れません。

 

しかし、自分が今一番驚いていることは、

記事を読んだことで、自分にものすごい発作が起きているということです。

 

 

私の頭の中には、ダムが壊れたようにいろんな考えが溢れ出してきました。

「私があの時辞めずに続けていたら、自分もプロモーションしていたかも知れない」

「私はあのタフな環境から逃げたのではないか」

「私は彼女に負けたのか」

「彼女はあの環境に耐えて勝った」

「プレッシャーをはね返せなかった自分は弱かった」

・・・概ね自分を責める声が勢い良く頭の中を回っています。

 

焦る気持ちを抑え、無駄にその雑誌のページをめくったりして、

深呼吸をして、6秒数えて、それでも耐えられず、一人図書館をうろうろ歩き回りながら

「いや、まてまて。今の私は仕事が充実しているし、間違っていない。少しずつ前に進んでいるんだ」

と脳の隅で自分なりに情報発信をしてみるものの、

突然壊れたダムを止めるのにこれっぽっちも役に立っていません。

 

外資のトップに就任し、本当にグローバルな会社と社員をまとめるなら、

はっきり言ってやはり今のこんなに動揺する私には出来ないでしょう。

それに比べ、彼女のことなら、あのキツイくも堂々とした態度で決断を下し、

時にみんなに嫌われながら・・・

 

いやなんでもありません。

 

 

とにかく冷静を装い、ブラブラと図書館の中を歩いているように見せながら、

私は無意識に「マンガで分かる!アドラー心理学」の本を手にしていました。

 

あまりの動揺具合に、

あの瞬間、「すごく安心できる」という類の謎の数珠を売りつけられていたら、

20万円ぐらいなら支払ったかも知れません。

 

とにかく私は、せめて視覚的にも脳を納得させようと、

藁にもすがるような想いでアドラーを読んでいました。

・・・マンガで。

 

 

思い返せば、数年前、大学の尊敬する先輩から久しぶりにLinkedInの情報が来て、

喜んでメッセージを開けて見てみたら

「〇〇さんは、世界的超大手のコンサルティング会社の日本法人のメチャ偉い人になりました」

 

というようなアナウンスメッセージだったことがあります。

 

本人は非常に才能溢れ謙虚な人なだけに、きっとパーソナルデータの役職を

アップデートしただけで、私には自動的にそのアナウンスが届いたのです。

 

久しぶりの連絡を身近に感じ、喜んだ私にとっては、

やはりおののくほどのエリートポジションアナウンスに

突き放されたようなショックを受けていました。

 

よく知る人が、知らないところで長く努力を積み重ね、知らない紆余曲折を経て、

いつか私では想像のつかないような役職について、仕事をしているという事実は、

(しかもそれがSNSで機械的に手元に送られる)

 

まだ足に「常識」や「世間体」「安定」の鎖をつけて

ずるずる新しい道を歩き出した私にとっては、頭に石を落とされるほど衝撃的で、絶望的です。

 

かといって今から(いや、そもそも最初から?)

追いつく方法を私は持ち合わせておらず・・・

 

 

「いや、その競技には参加しないと何年もかかって自分で決めたのではないか」

と昨日の図書館の私のように、呼吸も浅くオロオロしてしまいます。

うまくおめでとう!の返事さえ返せない私は、その自己嫌悪も相まって

それをきっかけにLinkedInのアカウントを抹消(退会)しました。

 

何よりも踏ん切りがつけられていない証拠です。

 

 

今私がやっている仕事で

喜んでくれる人や、応援してくれる人がいて、本当に幸せです。

それは今までの会社員生活にはない、とても貴重な経験で、何にも変えがたい。

 

 

だからアドラーが言うみたいに、他と比べずにやっていくといことは

あとはもう自分の心の問題なんだと、何度も自分に言い聞かせながら、

同時にまだ足にまとわりついている鎖の存在に気づいてしまい

どうしたもんかなと途方に暮れたりしています。

 

 

ヤケになった私は、

その晩夕飯を作ることを放棄し、旦那と串カツ屋に行き、

店内ではちょっと高級な「海の幸5本セット」と烏龍茶を頼んで

どうにかこうにか忘れる努力をしました。

 

 

 

・・・あぁ、小さい私。

 

キャリアと無意識のしがらみと

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