クルーズで一番人が集まる防災訓練

ここ最近、メディアを賑わせているダイヤモンド・プリンセスクルーズでの新型コロナウィルス問題。引き続き解決の目処もつかず、横浜港で近くに見えているのに、船の中に多くの人が隔離されているという光景がキャッチーで心配で、毎日ニュースに取り上げられています。

新型コロナウィルスのことがきちんと医療的に解明されていない中で、わからないことだらけで、不安とストレスを煽る状況となっていますが、医療の専門的な知見などは一旦置いておいて、「以前クルーズに乗ったことがある人」「今後またクルーズに乗る人」として、私なりに今の状況を考えてみたいと思います。


クルーズ船だから危ないのか?

サグラダ・ファミリアの方がクルーズ船より混んでる

テレビニュースで「クルーズ船は密集度が高いからよくない」「クルーズ船の中だから感染が広がった」とおっしゃるコメンテーターの方をみましたが、私はこれに関して疑問に思うことがありました。

クルーズ船は確かに「密集している」イメージがあるかもしれませんが、実際、船内で暮らしてみると、学校で生徒同士が触れ触れ合ったり、レストランで知らない人と接触するぐらいの密集度の感覚。ましては、ダイヤモンドプリンセスはクルーズ船のカテゴリーわけで言えば、「プレミアムクラス」と言われ、私が以前乗ったカジュアル船に比べたら、日々の生活における密集度は薄いのです。

都内の繁華街、地元の小さなスーパー、ましてや通勤時間の電車の方が、人と人との接触度、密集度は圧倒的に高いため、新型コロナウィルスを持った人が、その船に乗っていた・対処が遅れたことが今回の発端であり、クルーズ船の密集度に原因があるわけではないのです。

現状メディアが、クルーズ船1隻にフォーカスして、陽性の方が毎日増えていると話しているため、クルーズを主語で語られることがあります。乗船人数がわかっているから、隔離されているからじわじわ増えている恐怖を感じるかもしれませんが、例えば満員電車に感染者が1人乗っていて、そこに居合わせた乗客がそれぞれのオフィスに移動して、他の人に感染させるという状況だった場合、原因が分かりにくいので、今回のようには取り上げられないでしょう。

実際、下記の記事を読むと、国立感染症研究所感染症情報センターの研究による、鉄道を介した新型インフルエンザの拡散をシミュレーション(2008年)では、首都圏の鉄道に1人の新型インフルエンザ感染者が乗ると、5日目に700人、10日目には12万人に拡大するという予測があるとのこと。

出典:https://forbesjapan.com/articles/detail/32245/3/1/1

これは現状のダイヤモンド・プリンセスのそれとは比にならない感染拡大率です。その意味で、今回の感染劇は、「クルーズ船だから危ない」とは言い切れません。


クルーズ船は感染に関して無防備なのか?

プールサイドでは除菌してない・・・

昨年(2019年6月)、私自身がロイヤル・カリビアンに乗った際に驚いたのは、船内には至る所にアルコール除菌のスプレーやジェルが設置されていたことです。

ダイヤモンド・プリンセスに乗船されていた人に聞くと、ダイニングの入り口には手洗い場所があるとのことで、クルーズ会社がそれぞれ手洗いなど感染予防を推奨しています。

アメリカに住んでいた頃の感覚でいうと、アメリカ人は手洗いうがいはもちろん、マスクもしない(傘も刺さない)のに、クルーズ船の中はこんなにも除菌を徹底させるんだな!!!と驚いたのです。

クルーズ会社はどこも、これまでも長い歴史の中で感染症について意識はしています。今回、入港先を変更したりも含め、何もしていないわけではありません。

とは言え、アルコール除菌などを乗客全員に行っているか、クルーズ船の中での除菌対策は完全だったのかと言えば、全くそうは言い切れません。

私が乗っていたオアシス・オブ・ザ・シーズでは、朝食(ビュッフェ)の際は、エントランスにハンド除菌スプレーボトルを持っているスタッフが陽気に立っていて、レストランに入ろうとする人一人ひとりに除菌スプレーをしていました。つまり、そういう役割の人がいないと、一人ずつをコントロールすることは出来ませんし、オアシス・オブ・ザ・シーズ乗船時も1隻に世界中から集まった7000人が乗船しているし、それぞれの人の行動もバラバラ。どこか1箇所に集まると言うこともありません。クルーズ船がそれぞれアルコールやハンドジェルを用意していても、それらの感染予防のツールは、あくまでも個人の意思に任せたものでした。

もっと手洗いを徹底させるとか、うがいも一緒に促すとか、レギュレーションに組み込むとか、メニューを貰うたびに除菌をさせるとか?今後は、もう一歩踏み込んだ、そういう対策が必要かもしれません。(もちろん、今回の件で、アジア人は特に意識して自ら除菌する人が増えるでしょうが)


とは言え、隔離は辛い・・・

これが窓無し部屋
隔離じゃなければ快適

今回の隔離の辛いところは、いっぺんに皆さんの検体を調べるわけではないため、当初2週間と聞いていた隔離の間に、ボロボロと陽性反応の方が出てきて、不安を煽られるような感覚があるということです。いつまで、どうなるのかわからない、自分自身のことも結果が目に見えないということが、人を不安にさせ、ストレスを倍増させていることでしょう。

バルコニー付きのお部屋の人はそれでも、外に出たりしてテレビの取材に答えたりしていましたが、先日私が記事「【コスパ最強】クルーズ船で内側のお部屋を選ぶべき3つのポイント」でお勧めしたインサイド(窓なし・内側部屋)の人など、私が自信を持ってお勧めしたい部屋なことは間違い無いのですが、陽の光も見えずにますますお辛いことでしょう。

以前乗船スタッフの方から聞いた話では、日本を回るクルーズ船の日本人の平均年齢は70才以上だとか。そうなると、他のメディアでも取り上げられているように、体調に不安のある方も多いでしょう。今回の新型コロナウィルスは、高齢者がかかりやすいと言う傾向も皮肉なことです。

船に隔離することは、一旦の安心・安全ではあるものの、きっとあと1週間後に、このプリンセス・クルーズの一件を振り返れば、改善できることや反省点がたくさん見つかることでしょう。

長期にわたって乗客に情報が入ってこない理由や、オペレーションのあり方、国やクルーズ会社との調整のあり方など、今後クルーズ船で、万が一同じようなことがあった場合に、スムーズに対応ができるようになることが、今回の経験を前向きに越えていく唯一の方法です。

部屋に閉じ込められている人も、乗船スタッフも、対応にあたっている皆さんも、今の状況は、きっと想像を超えて大変でしょう。アメリカ人で、国に帰してほしいと訴えている人たち同様、スタッフの多くは海外から家族を置いて働きに来ている人たちです。彼らがいることで、クルーズは何よりも楽しくなると言うことを体験している私としては、とにかく、「いつ出られるのか」「今どう言う状況なのか」を、一つずつ明確にして、皆さんの不安が少しでも早く減ることを強く願っています。


それでもクルーズファンはクルーズファン

クルーズファンは根強い

新型コロナウィルスの一件で、クルーズに対するイメージが一部で下がってしまうかと思いますが、やはり根っからのクルーズファンはクルーズファン。Facebookの中でも、ダイヤモンドプリンス船内で見ている人と、外で普通の生活を送っているクルーズファンとで、お互い励まし合っていて、投稿は普段より頻繁になっています。

また、私が愛しているロイヤルカリビアンも下記のような投稿をして、ハフィントンポストで取り上げられていました。

いいぞ!ロイヤルカリビアン

この話題の真っ只中、2020年2月9日に開催されたクルーズ説明会に足を運んでみたところ、会場がぎゅうぎゅうで大勢の人が集まっていました。

特にクルーズファンは、上品なご年配の方が多く、エレベーターで乗り合わせた男性に声をかけてみたところ、「心配ですね」と心を痛めている様子はあるものの、クルーズ旅行を止めようとは一切思っていないということでした。

そう、やっぱりクルーズの魅力の底力は大きい。私がたった一度でクルーズがこんなに好きになったように、多くの人がクルーズの魅力を、そのサービスの素晴らしさやスタッフの頑張り、クルーズ会社の運営努力だと知っているからこそ、今回の一件で、ますますクルーズファンの底力を感じた気がしました。


結論、手洗い!うがい!クルーズAgain!

それでもまたクルーズに行く

2019年、私がクルーズを経験して、何に一番感動したのかと言えば、そのクルーズの長年の歴史と経験に培われたサービス力とオペレーション力で、人を喜ばせるためのビジネス・コンテンツとして長い年月をかけて磨き上げられているその努力を至る所で感じられたことでした。

大規模なサービス運用や、様々なシステムや人員の育成。こうなるまでには、沢山の経験と失敗があって、改善を繰り返してここまで複雑かつスムーズな運営ができているのだろうと、企業努力を痛感して、感動をしていたのです。

それでいうと、ダイヤモンド・プリンセスは、今現在辛い状態ではありますが、ここから日本政府も、もちろん私たち自身も、今回の一件から学び、船内での対策や、過ごし方や、感染症問題を起さないためのシステムなどを改めて考え、より不安とリスクの少ないクルーズ業界になっていくことを信じています。

メディアでも伝えられているように、現段階での厚生労働省から出ている対策は「石鹸やアルコールでの手洗い」「咳エチケット」です。とてもシンプル。

これを普段から、一人一人がより意識できれば、今回の一件が歴史上最悪の事態であったと言えるようになります。

とにかく、次回クルーズに行くときには、皆さんも、自ら手洗いうがい、咳エチケット。ダイヤモンド・プリンセスの皆さんの無事を祈り、応援しつつ、次のクルーズに思いを馳せましょう。

ボンボヤージュ

深呼吸〜